「ねぇ、聞いてもいいかな?」

「何でしょう?」

「どうして、クロちゃんの家に来ることになったの?」

チョコちゃんが、すぅと息を吸い込みました。

「あ、あ、ごめん。ごめんね。イヤなら答えなくていいんだ」

「いえ、いいんです……。子犬ならまだしも、不自然ですよね、もう3歳になる成犬がいきなりやってきたりしたら。実は、ボクの前のご主人様は、もうボクを飼えなくなってしまったんだそうです」

今度は、シロちゃんが、すぅと息を吸い込む番でした。

「ど、どうして? 亡くなったの?」

「リコンするんだそうです。ボクは大型犬だから、なかなか飼えるところがないんだそうで。保健所に行くところだったんですが、今のご主人様が、えっと、前のご主人様のお友達なんですが、貰い受けてくださって」

シロちゃんは、聞かなきゃよかったと後悔しはじめました。

「前のご主人様も、ボクが小さいときは、かわいがってくれていて。お散歩の途中にドッグカフェに連れて行ってくれたりもしました。車でも、よくお出かけしました。ドッグランとか、あと、旅行にも……。お洋服もいろいろ……」

シロちゃんは、何と言っていいかわからず、お使いものの薬袋の紐を、もじもじとねじりました。

「……ボクは捨てられちゃったんだなぁ、って。あんなにかわいがってくれていたのに、なんで、どうして、って考えていると、ときどき、ぎゅうって胸が苦しくなって、ご飯も食べられなくて。夜、怖い夢も見たりして」

長い沈黙のあと、チョコちゃんが吐き出すように言いました。

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