それからというもの、シロちゃんはチョコちゃんのことが気になって仕方ありませんでした。
スマートでジェントルな風貌の中に、かすかに暗い影を感じたからかもしれません。

――チョコちゃんは、どうしてクロちゃんの家に来ることになったんだろう?

ペットショップからやってきたにしては、年をとっている気がしました。

「チョコちゃんってさ、何歳ぐらいなの? どこから来たのかな? ペットショップかな?」
「そんなの、知らないよ。ご主人様が勝手に連れてきちゃったんだから」
チョコちゃんの話題が気に入らないクロちゃんは、
口をとがらせながら、そっけなく答えるのでした。

ある日のこと、シロちゃんが、ご主人様のお使いで歩いていると、
庭でひなたぼっこをしているチョコちゃんに会いました。

ちょっとためらったのち、めずらしくシロちゃんから声をかけてみました。
「……こんにちは」
「……こんにちは。シロさん、でしたよね」
スマートでジェントルなチョコちゃんは、丁寧に受け答えします。
決して、ううう〜などと唸ったりしません。
「シロちゃんでいいよ。みんな、ちゃん付けで呼ぶんだ、ボクのこと」
シロちゃんがそういうと、チョコちゃんの硬い表情が少し緩みました。

日差しが暖かい午後でした。
ふわふわとモンシロチョウが飛んでいます。
チョウチョを不思議そうに見つめるチョコちゃん。
「大丈夫だよ、何にも悪いことしないから。君、チョウチョ見たことないの?」
シロちゃんは、驚いて聞きました。
「ボクが住んでいたマンションには、こういうのは、いませんでしたねぇ」
チョコちゃんは、チョウチョをまぶしそうに見ながら答えました。

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